ブログ

2023.12.27

「科学三昧 in あいち2023」で研究発表を行いました

名大MIRAI GSC活動ブログをご覧のみなさま、こんにちは。

昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。
本年も名大 MIRAI GSCの活動について、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、前回から少し間が空きましたが、今回は科学三昧inあいちでの発表の様子について、ご紹介します。

科学三昧 in あいち 2023
日時:令和5年12月27日(水)9:40~16:00
場所:自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンター

今回も午前と午後の部に分かれて開催されました。
名大 MIRAI GSCからは、第3ステージ受講生が午前と午後に5件ずつ、計10件のポスター発表を行いました。
それでは、会場の様子を写真で見てみましょう。

RIMG8083.JPG

午前の参加者のみなさん

RIMG8100.JPG

「Effect of Ag addition on the hydrogen permeation through Pd-based membranes: An experimental and computational study/実験とシュミレーションによるPdおよびPd-Ag合金の水素透過能の評価」

概要:水素透過金属膜は混合気体から水素のみを選択的に透過させる性質を持つため、高純度水素の製造技術への応用が期待されている。本研究では、代表的な水素透過金属であるPdとPd-Ag合金に注目し、Pdの水素透過能に及ぼすAgの影響を実験と計算の両面から調べた。水素透過試験により、Pd-Ag合金の水素透過能はPdと比べて高いことを確認した。一連の分子動力学計算、電子状態計算および文献調査により、Pd-Ag合金がPdより高い水素透過能を示す要因を、水素の溶解性と拡散性の観点から考察した。

発表者:豊川高校2年、静岡県立浜松北高校2年のお二人
所属:名古屋大学 工学研究科 マテリアル工学科 君塚・大戸研究室

RIMG8087.JPG

「Proposal for Improving Public Transportation in Rural Areas Using Person Trajectory Data and Questionnaire Survey/人流データとアンケートを活用し、地方都市における公共交通機関の最適化提案」

概要:地方都市では、高齢化による免許返納者の増加や人口減少・車社会化による公共交通機関の衰退を原因として、その交通機関に新たな変化が求められています。そこで、地方都市である新城市の作手地区に着目し、携帯電話位置情報から得られる人流データと、アンケート調査データを活用して、最適な移動手段を検討しました。具体的には、既存のSバスとデマンドバスについて、運行状況の見直し、バス停の位置の最適化、バス停までの移動手段を年代別に確保することを提案します。

発表者:愛知県立岡崎高校2年、名古屋市立向陽高校2年のお二人
所属:名古屋大学 工学研究科 環境土木・建築学科 森川・山本・三輪研究室

RIMG8106.JPG

「X-ray Observation Data Reveals Mysteries of Stars and Clusters of Galaxies/X線観測データから恒星・銀河団の謎に迫る」

概要:X線観測データを多波長のデータと比較することで恒星・銀河団の研究を行った。まず、恒星のX線と紫外線の光度の相関をとると、発生機構に類似性があること、質量により発生機構が異なることが示唆され、同スペクトル型でも光度が様々であることがわかった。次に、衝突銀河団のBCG(最も明るい銀河)について調べると、位置関係について中心のガスとBCGの位置に相関があり、速度に関して相関は無かったが、超音速で動く銀河がいた。このようにX線と多波長データを比較することで新たな考察が生まれた。

発表者:海陽中等教育学校5年、岐阜県立加納高校2年のお二人
所属:名古屋大学 理学研究科 物理学科 宇宙物理学研究室

RIMG8101.JPG

「An attempt to elucidate and predict the onset of solar flares based on three-dimensional analyses of solar magnetic field/太陽フレアの発生機構の解明と予測のための3次元磁場解析の試み」

概要:太陽表面を3次元磁場で解析し、フレアを起こした領域とそうでない領域、フレア発生前後での磁場構造をそれぞれ比較した。フレアを起こした領域とそうでない領域では磁力線の構造に大きな相違がみられた。また、フレア発生前後において、磁場に流れる電流の強さを表す非ポテンシャル磁場の値を比較すると、磁気中性線付近で発生前に比べ発生後は減少した。これらのことから、フレアは磁気中性線付近で発生し、その大きさには非ポテンシャル磁場が深く関係していると考えられる

発表者:岐阜県立岐山高校2年、三重県立津高校2年のお二人
所属:名古屋大学 理学研究科 物理学科 太陽宇宙環境物理学研究室

RIMG8091.JPG

「Exploring Bystander Effect in Pancreatic Cancer: Development of a Novel Treatment Strategy/膵臓がんに対する新規治療法確立のためのバイスタンダー効果の検証」

概要:膵臓がんは間質豊富な難治性がんで、従来の抗がん剤はその間質によるブロックを受け奏効しないことが知られている。そこで、膵臓がん間質に特異的に発現する膜タンパク質Meflinを標的とした抗体薬物複合体(以下;抗Meflin-ADC)による治療法を考案した。これは、膵臓がんの豊富な間質を逆手にとった画期的な治療法である。本研究では、抗Meflin-ADCの作用機序であるバイスタンダー効果が、ヒト膵臓がん組織、細胞レベル、動物レベルで発揮しうるかそれぞれ検証した。

発表者:名古屋市立向陽高校2年、南山高校女子部2年(欠席)のお二人
所属:名古屋大学 医学系研究科 分子病理学研究室

RIMG8144.JPG

午後の参加者のみなさん

RIMG8120.JPG

「Fabrication of Silicon-Germanium (SiGe) graded layer for ultra high efficient multi-junction solar cells/超高効率な多接合型太陽電池に
向けた最先端半導体材料の研究」

概要:近年CO2の排出量削減のため、太陽電池に大きな注目が集まっている。従来の結晶Si太陽電池よりも幅広い波長の太陽光を吸収するために複数の材料を重ねて用いる多接合型太陽電池が存在する。その低コストかつ簡易な作製を目的としてSiGe薄膜の研究が進められている。SiGe薄膜を作製するにあたり、未解明であるペーストの可溶性と冷却速度がSiGe薄膜の特性に与える影響を解明することが本研究の目的である。結果、合金ペーストで冷却速度を緩やかにした試料において高Ge組成の高品質なSiGe薄膜が作製できた。

発表者:東海高校2年、岐阜県立多治見北高校2年のお二人
所属:名古屋大学 工学研究科 マテリアル工学科 宇佐美・黒川研究室

RIMG8141.JPG

「Thermomagnetic Effects in Co/CoGe Multilayers for Novel Thermoelectric Conversion Device/Co/CoGe多層膜における磁性を利用した新規熱電変換現象」

概要:我々の身の回りでは、多くの熱エネルギーが排熱として捨てられる。そこで排熱を再利用できる異常ネルンスト効果(ANE)という熱電変換現象に近年注目が集まっている。ANEは磁性を利用して取出電圧の方向を自由に設計できるが、変換効率の低さが課題となっている。本研究ではANE増大に寄与する構造の探索を目的として、Co/CoGe多層膜を作製し、界面の寄与を調べた。結果として積層数に比例してANEの散乱を示す項が増大しており、これは界面でANEに有利な領域が生成されることを示唆している。

発表者:愛知県立明和高校2年、岐阜県立多治見北高校2年のお二人
所属:名古屋大学 工学研究科 マテリアル工学科 水口研究室

RIMG8118.JPG

「The research on the influence of polyphenols in the fibril growth of Amyloid Beta/アミロイドβの線維成長におけるポリフェノールの影響に関する研究」

概要:アルツハイマー型認知症は、アミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質線維の脳内への蓄積と凝集が原因とされている。赤ワインは一般的に痴呆防止に効果を持つと言われ、先行研究ではブドウ種子由来ポリフェノールによるAβ線維の凝集阻害効果が報告されている。しかし、電子顕微鏡観察に基づく結果であり、1分子レベルでの詳細は明らかになっていない。そこで1分子レベルでの繊維の観察が可能な高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いて、赤ワイン及び他のポリフェノールを含む飲料が線維伸長と凝集に及ぼす影響を研究した。

発表者:愛知県立一宮高校2年、岐阜県立多治見北高校2年のお二人
所属:名古屋大学 理学研究科 物理学科 生体分子動態機能研究室

RIMG8131.JPG

「Production of oils from various sugars using budding yeast/酵母で脂肪を大量生産」

概要:食料やバイオ燃料など利用価値が高い油脂は、世界的に生産不足が危惧されている。そこで、培養に広い土地や光を必要としない酵母を用いた持続的で効率的な油脂の生産を考えた。その際に廃棄物由来の材料を利用することを考案した。廃棄果実に多く含まれる糖であるフルクトースやスクロース、あるいは廃棄野菜や稲わらに豊富で酵母がもともと利用できないデンプンやキシロースから油脂を生産させることを試みた。油脂の生産量は、細胞内で油脂が蓄積される脂肪滴を観察して評価した。この試みの現状を報告する。

発表者:愛知県立旭丘高校2年(欠席)、名古屋市立向陽高校2年のお二人 
所属:名古屋大学 理学研究科 生命理学科 分子修飾制御学グループ

RIMG8111.JPG

「Differential damage response using nerve injury-induced gene-deficient mice/遺伝子組み換えマウス間の神経損傷に対する応答の違い」

概要:中枢神経系の神経細胞は疾患や外傷により損傷を受けると、修復することなく変性・脱落してしまう。一方で、末梢神経系の神経細胞は損傷を受けても再生・修復する。末梢神経損傷に対する応答メカニズムを解明することは、神経変性疾患の病態解明や治療につながると考えられる。そこで本研究では損傷を受けた神経細胞特異的に遺伝子を欠損させることが可能なマウスを複数系統用いて、末梢運動神経損傷に対する応答の違いをマウス間で比較し神経修復に関わるメカニズムの一端を明らかにすることにした。

発表者:愛知県立岡崎高校2年、愛知県立豊田西高校2年のお二人
所属:名古屋大学 医学系研究科 機能組織学研究室

名大 MIRAI GSCからの発表は全て英語で行いましたが、休む間がないほどに多くの方がポスターの前で足を止めて、発表を聴いてくださったように感じました。
発表者のみなさん、おつかれさまでした。
主催のあいち科学技術教育推進協議会並びに岡崎高校のみなさま、愛知県教育委員会のみなさまにも心から感謝申し上げます。

次回の更新では、第3ステージ研修会の様子についてご報告したいと思います。
名大MIRAI GSC活動ブログを、今後ともよろしくお願いいたします。

名大 MIRAI GSC 事務局